
通関とは?基本の流れとハンドキャリー品をECで販売する際の注意点
海外から商品を仕入れてECサイトで販売する。このビジネスの入口に必ず立ちはだかるのが「通関」です。「通関とは何なのか正確に説明できない」「手続きにどれくらい時間や費用がかかるのか分からない」という事業者様は少なくありません。
さらに注意したいのが、海外出張や旅行のついでに現地で商品を買い付け、スーツケースで持ち帰る「ハンドキャリー」です。手軽でスピーディーな一方、これをそのままECサイトで販売すると、通関上の重要なルールに抵触し、大きなトラブルに発展しかねません。
今回は、通関の基本的な仕組みと手続きの流れを整理したうえで、ハンドキャリー品の通関ルールと、EC事業者が安定したビジネスを築くうえでなぜ正規の国際輸送を利用すべきか、その理由を物流のプロが詳しく解説します。
そもそも「通関」とは?初心者向けにわかりやすく解説
通関の定義
「通関」とは、海外から貨物を輸入・輸出する際に、税関に対して行う許可申請の手続きのことです。この許可(輸入許可・輸出許可)が下りて初めて、貨物は正式に国内へ引き取ったり、海外へ送り出したりすることができます。
つまり通関は、単なる「税関でのチェック」ではなく、「その貨物を国内外に流通させてよいかどうかを国が審査し、許可を与えるプロセス」だと理解しておくと、以降の手続きの意味も分かりやすくなります。
通関手続きの基本の流れ(5ステップ)
輸入を例にすると、通関手続きはおおよそ次の5つのステップで進みます。
1. 貨物の到着・保税地域への搬入
海外から到着した貨物は、まず空港や港の「保税地域」と呼ばれる場所に一時的に保管されます。この時点では、まだ関税や消費税は確定していません。
2. 輸入申告(税関への書類提出)
輸入者(または通関業者)が、インボイス(仕入書)やパッキングリストなどの書類をもとに、税関へ「輸入申告」を行います。
3. 税関による審査・検査
申告内容と実際の貨物に相違がないか、税関が書類審査や必要に応じた現物検査を行います。品目によっては、他法令(食品衛生法、薬機法など)の許可・確認が必要になるケースもあります。
4. 関税・消費税の納付
審査を通過すると、貨物の種類や価格に応じて関税・消費税の額が確定し、これを納付します。
5. 輸入許可(貨物の引き取りが可能に)
納税が完了すると税関から「輸入許可」が下り、ここで初めて貨物を保税地域から引き取ることができるようになります。
この5ステップのどこか一つでも書類不備や申告内容の誤りがあると、通関はストップし、貨物の到着が遅れる原因になります。
通関にかかる期間と費用の目安
通関にかかる期間は、書類に不備がなければ数時間〜1日程度で完了することも多い一方、検査対象になったり、税関の閉庁日(土日祝)を挟んだりすると数日単位で延びることもあります。
また、通関には関税・消費税以外にも「通関手数料」と呼ばれる費用が発生します。この内訳については、その通関手数料、何にかかる費用?内訳と価値で選ぶ物流パートナーの記事で詳しく解説していますので、あわせてご覧ください。
要注意!「ハンドキャリー」商品を通関させる際のルール
ここまでで、通関の基本的な仕組みと流れをご理解いただけたかと思います。ここからは、特に見落とされがちな「ハンドキャリー」で仕入れた商品を販売する場合の注意点を見ていきましょう。
大原則は「旅行者の免税範囲」
まず最も重要な原則は、旅行者の携帯品として認められる免税範囲は、あくまで「個人が自分で使用する物品」を前提としているという点です。
一般的な入国時の免税枠(例:海外市価の合計額20万円までなど、品目によって条件は異なります)を超える場合はもちろん、たとえ金額が少額であっても「販売目的」で持ち込む商品は、そもそもこの免税範囲の対象外です。
つまり、「税関の緑のランプ(免税)」を通過してハンドキャリーした商品を、そのままECサイトに出品する行為は、原則として通関ルール違反にあたります。
販売目的の場合に必要な正規の輸入通関手続き
では、ハンドキャリーした商品を正規にECサイトで販売するためには、どうすればよいのでしょうか。
その場合は、飛行機を降りた後、税関検査場で「緑のランプ(免税)」のカウンターではなく、「赤のランプ(課税)」のカウンターへ進み、以下のような正式な輸入通関手続きを行う必要があります。
1. 口頭または書面での申告
税関職員に、持ち込んだ品物が「販売用である」ことを明確に告げます。商品の内容や価格によっては、「輸入(納税)申告書」の提出を求められます。
2. インボイス(仕入書)の提示
購入した際のレシートや請求書など、価格を証明する書類を提示します。
3. 関税・消費税の納税
税関職員が商品の種類と価格に基づいて税額を計算し、その場で算出された関税および消費税を現金で納付する必要があります。
4. 輸入許可の取得
納税が完了すると、その場で輸入が許可され、正規に「販売可能な商品」として国内に持ち込むことができます。
この流れは、先ほど解説した通関手続きの5ステップのうち、「申告」から「許可」までを、空港のカウンターでその場で完結させているとイメージすると理解しやすいでしょう。
知らずに違反した場合のリスク
「申告しなくても、少量ならバレないのでは」と考えるのは非常に危険です。無申告や虚偽申告が発覚した場合、以下のようなリスクがあります。
- 密輸とみなされるリスク:関税法違反として、商品の没収や罰則の対象になる可能性があります。
- 追徴課税:後から販売目的であったことが判明した場合、本来の関税・消費税に加えて延滞税などが課される可能性があります。
- 事業の継続性への悪影響:一度でも税関とのトラブルを起こすと、その後の輸入業務全般で厳格な審査対象となり、通関がスムーズに進まなくなるおそれがあります。
一時的なコスト削減のつもりが、事業全体に大きなリスクをもたらしかねない、という点を押さえておく必要があります。
なぜEC事業者は正規の国際輸送を利用すべきか
ここまで見てきた通り、ハンドキャリーによる仕入れは、正規の手続きを踏んだとしても事業として継続的に活用するには限界があります。EC事業者が安定した仕入れルートを築くうえでは、正規の国際輸送(航空便・船便)を利用することを強くおすすめします。理由は主に3つです。
① 属人的でスケールしない ハンドキャリーは、担当者が実際に現地へ出張・渡航する頻度に仕入れ量が依存します。ビジネスの成長にあわせて仕入れ量を増やそうとしても、人の移動が前提である以上、スケールさせるのには限界があります。
② 通関書類の不備リスクを抑えられる 正規の国際輸送であれば、フォワーダーや通関業者が書類作成から申告までをサポートするため、空港カウンターでの即席対応に比べて、書類の不備や申告内容の誤りによるトラブルを未然に防ぎやすくなります。
③ 関税還付・EPA活用などのメリットを受けられる 経済連携協定(EPA)の活用による関税削減や、条件を満たした場合の還付制度など、正規輸送・正規通関だからこそ活用できる制度も存在します。
JK-LOGISTICSでは、通関手続きの代行から倉庫保管、EC事業者様向けの出荷まで、ワンストップでサポートしています。「今の仕入れ方法をそろそろ見直したい」という事業者様は、ぜひ一度ご相談ください。
まとめ
- 通関とは、海外から貨物を輸入・輸出する際に税関から許可を得るための手続きであり、申告→審査→納税→許可という流れで進みます。
- ハンドキャリーで仕入れた商品を販売目的で国内に持ち込む場合は、免税範囲の対象外となり、正規の輸入通関手続き(申告・インボイス提示・納税・許可取得)が必須です。
- 無申告・虚偽申告は密輸とみなされるリスクがあり、事業の継続性にも悪影響を及ぼしかねません。
- 仕入れをビジネスとしてスケールさせるなら、正規の国際輸送と信頼できる物流パートナーの活用が鍵になります。





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